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『Singer Song Writer ~BLUE~』 レビュー vol.2 [SSW ~BLUE~]

『 Singer Song Writer ~BLUE~ 』 レビュー vol.2

全15曲収録アルバムの、中盤の5曲。

   6. ボヘミアン
   7. 色褪せた海
   8. さよなら貴方
   9. 想い出のオルゴール
  10. 自問


IMG_0630.JPG


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♪ ボヘミアン ♪

オリジナルは、1983年6枚目のアルバム 『 流れる季節の中で 』 収録。

沢田聖子・真の卒業アルバムとして君臨する名盤の中、
少女から大人の女性へと想いが移りゆく時代、
現実と夢のはざ間を行き来する楽曲が増えてきた時代。

短大を卒業し、プロのアーティストとしてもう戻ることのできない、
甘えの許されないアーティスト人生を歩き始めた聖子さん。
まわりの期待も注目度も、正に沸点にさしかかった時に生まれた
沢田聖子元気ソングのひとつでもある 『 ボヘミアン 』 。

自らが信じる道を歩き続ける…
という沢田聖子の基本スタンスを象徴する
その迷いを振り切るために、自らにも投げかけている楽曲。
同じ世代の若者と自らのアーティスト人生と照らし合わせ、
自分にしか出来ない何かをつかもうと…。

ファンからのリクエストもステージで唄う頻度も高く、
男性目線から見た楽曲であるため、ことさら人気が高い。

生まれ変わったアレンジは、
これまたどこかで聴いたことのありそうな、80年代サウンド。
当時、沢田聖子さんの後に女性シンガーソングライターが続々と現れ、
その彼女たちが唄っていた流行りのサウンドを思い出す…。
落ち着いた沢田聖子さんのヴォーカルが救い、と言っては酷か…。

個人的には…
人生の深みと重みを加えたアレンジを期待していた。
ただステージ向けとして最適な楽曲であるため、
アップテンポで仕上げることが必須だったことは仕方のないこと。
この楽曲を眉をひそめて唄う情景は、らしくない。

けれどもこの機会だからこそ、この楽曲こそもっと装いを代え、
違ったアプローチで仕上げてこそ、さらに輝いたのでは…
と個人的に…。


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♪ 色褪せた海 ♪

オリジナルは、12枚目のシングル 『 あなたからF.O. 』 の
C/Wとして収録され、アルバムには収録されていない。
ステージでも滅多に唄われることのない、幻の楽曲のひとつ。

シングルB面の自作楽曲には、隠れた名曲が多かったクラウン時代。
日本フォノグラムに移籍し、その方程式が崩れ始め、
シングルヒットを狙うA面の曲調がB面にも影響していた時代。

『 あなたからF.O. 』 のシングルカットが急きょ決まり、
やや急場しのぎの感もあった 『 色褪せた海 』 。
80年代特有のサビのコーラスアレンジが、どうにもこそばゆい。
本人も気に入っていなかったアレンジだったらしく、
積極的に唄うことはなかった、と語っている。

このアルバムのアレンジでは、
力強いギターとドラムのイントロから始まり、
ヴォーカルに入る間際のギターフレーズが印象的。

リフレインするサビの歌詞をどのように魅せるか…
が命綱と言っても良い楽曲。
オリジナルのフニャフニャ感を一掃するように、
ありったけの音を載せた感はあるものの、
荘厳なエンディングに向かう流れに
当時のアレンジへの憤懣やるかたなさが見てとれる。

再び琴線に触れる締めのギターが、心憎い。

オリジナルではさらっと聴き流していた楽曲を
力強くまとめあげ、聴き応えのある楽曲に仕上げた秀作。


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♪ さよなら貴方 ♪

1983年6枚目のオリジナルアルバム 『 流れる季節の中で 』 収録。

未発表曲として、アルバム収録前にステージで披露していた楽曲。
10代の淡い恋心と伝わらなかった想い、伝えられなかった想い。
移りゆく季節と想いを重ね合わせたピュアなラヴソング。

流れる季節の中での、青の時代の手前の、みどりの頃の想い。

まったくの創作、と言い訳のように公言する 『 さよなら貴方 』 。
けれどもファンなら、ここまで乙女チックな歌詞は創作…とわかる。
沢田聖子さんが乙女チックでもロマンチストでもないことは、昔から…。

現実に向き合った時のラヴソングは、もっと深い切り口を見せる。
そして、多くを語らない。

フォークの懐かしさを残しつつの、アコギのアルペジオ。
ストレートなヴォーカルが、直球の想いを届ける。

" 好きだった貴方 " を唄うラヴソングだけあって、
当時も今も、ファンの人気はほどほど。

もしこの詩が男性目線からのシチュエーションだったなら、
沢田聖子定番のラヴソングになっていたであろう…。

それくらい

その想いは、ピュア…。


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♪ 想い出のオルゴール ♪

1984年8枚目のオリジナルアルバム 『 風の予感 』 収録。

自作楽曲が2曲という、全てのフルアルバムの中で最小のアルバム。
次々に新譜がリリースされた、アルバムラッシュと呼ばれた時代。

このアルバムにも収録されたシングルの大ヒットをもくろみ、
レコード会社は、社運を賭けるほどの大セールスプロモーションを展開。
楽曲もイメージも、ステージスタイルをも変えようとしていた制作サイド。

ラジオのリクエスト番組等への組織票をレコード会社がファンに指示し、
そのあからさまなプロモーションに、ファンは辟易した。
ファンも巻き込んだ販売戦略は、ファンの心をつかみ損ね…
ファンの何たるかを知らず、ファンを甘く見たレコード会社の失策。

大ヒットどころか、" 惨敗" と言っていい結果に終わり…
ファンはぶつけ所のない怒りを手に残し…。
そして、多くのファンが離れた。

ファンも沢田聖子さんも、この時失ったものは、計り知れない。


そんなアルバム『風の予感』の中、唯一の救いとなった楽曲。

沢田聖子さんが、初めて " 人の死 " と向き合った楽曲。

そのエピソードはあまりにも有名で、言わずもがな。

他の誰も手を触れてはいけない。

ただ、その唄声と想いに耳を傾けるだけ。

見守るだけ。


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♪ 自 問 ♪

オリジナルは1983年7枚目のアルバム 『 ターニング・ポイント 』 収録。

リリース当時は、ステージではアップテンポの楽曲としての定番だった。
初めてフルの専属バックバンドがつき、全国ツアーにも同行した。
バンド名は「ヘルニーズ」だったり「沢田バンド」だったり、
些細なことにこだわらない性格が如実に表れていた。

専属のフルバンドをバックに華麗な衣装に身を包み…
その姿にみんなもろ手を挙げてはしゃいでいた時代。

今でこそ、この楽曲は当時の音楽活動への疑問や不満、
そして迷いを綴った楽曲であることは知られているが…
当時はもっと前向きな、ファンへのメッセージとして認知されていた。

夢を持ち続けて…
夢を捨ててはダメ…
私も走り続けるから、みんなも一緒に…
信じられるものがあるはずだから…と。

澱みにも似た、行く先の見えない暗闇へと誘うイントロ。
アレンジだけでなく、ところどころ音符も半音動かし、
誰に向けているのかもわからない悲痛な叫びが、
慕う者の思考力と言葉を奪う。
袋小路とわかっていながら、暗闇の奥底へ…。

" ファンのことなんて、何も考えていなかった… "

と残して、暗闇の奥に消えて行ったあの日。


ひたすらに追いかけていた

何も恐れていなかった、青の時代。

袋小路に気付いた時は、…

もう、自問することすら出来なく…。


大きく広がる空の青さが

とても眩しかったはずの…

青の時代。


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コメント 7

ともにゃん

初めまして。いつもブログ拝見させていただいております。
vegaさんの文章を読むと、私が中学生から今まで(45歳です)何故私が 聖子ちゃんの曲を聴いてきたか、
解説されているかのよう。
聖子ちゃんの自然さを、キャラクターを 今なら『大好き』と言えます。
名古屋のライブ、2回とも行くことにしました。
たとえ独りでも。でもBLUEは高1の娘と行きます。きっと気に入ってくれるはず。
レコード会社のプロモーションではなく、まさに裸一貫から再出発できた 彼女の強さを感じて欲しいのです。
by ともにゃん (2014-06-15 12:06) 

マインドスケッチ

こんにちわ。「想い出のオル
ゴール」のエピソードにつき
ましては、1982年11月、聖子
さん自身のラジオ番組の中で
も紹介されています。この作
品が発表される1年半も前の
出来事なのでした・・・。
by マインドスケッチ (2014-06-15 19:14) 

konちゃん

色褪せた海 を結構いい曲と思って聴いていたら、For youに
入っていたのですね。レコードを捜し出し原曲で聴こうとしたら、ずっと使用していなかったので、スピーカーが鳴らないというか、アンプが壊れたのかな?仕方ないのでUSBやSDに録音できるプレーヤー買って聴こうかな。
それにしても、久しぶりのレコードは懐かしいですね。
BOX仕様でミニ写真集風な歌詞のブックレット。
やはり聖子姫はアイドルだったのですね。
すっかり押入れに仕舞いっぱなしになっていました。
まさに 色褪せたジャケット になっていました。
by konちゃん (2014-06-16 19:06) 

johncomeback

拙ブログへのコメントありがとうございます。
僕もスマホは使いこなせないと思います。
外でブログを見てnice を押せれば良いんです(笑)
by johncomeback (2014-06-17 19:22) 

さとし

ここまで語れるとは、さすがですね。
私もファンだったら、ひとつひとつの言葉がより心に響くのでしょうね。
by さとし (2014-06-17 21:51) 

hatumi30331

こう言うふうに語れるもの・・・
語れる人・・・
語れること・・・・
持ってる人は幸せやなあ〜って・・・
ほんまに思います。
私には・・・あるかな?
by hatumi30331 (2014-06-18 23:46) 

通りすがりの聖子ファン

アルバム歌詞カードの撮影場所を探し当てたとかどうだとか、何か目的が違う追っかけの人もいるらしいですけど、ベガさんのレビューを拝読するにつけてファンの何たるかを教えられます。
圧巻のレビューに感嘆するばかりです。
by 通りすがりの聖子ファン (2014-06-19 19:02) 

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