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『Singer Song Writer ~BLUE~』 レビュー vol.1 [SSW ~BLUE~]

5月25日にリリースされた32枚目のオリジナルアルバム
『 Singer Song Writer ~BLUE~ 』

セルフカバーアルバムの第2弾として、
昨年の 『 Singer Song Writer ~GREEN~ 』 の後の時代、
1982年から1984年の自作楽曲をセルフカバー。

クラウンレコードからフォノグラムに移籍し、
シンガーソングライターとして次への飛躍を誰もが期待し、
大きく羽ばたく沢田聖子さんの姿を願っていた頃の楽曲たち。

全15曲収録アルバムの、前半の5曲。

『 Singer Song Writer ~BLUE~ 』 レビュー vol.1

  1. 走って下さい
  2. 悲しむ程まだ人生は知らない
  3. 蒼い風景
  4. 青春エピローグ
  5. あなたからF.O.


IMG_0591.JPG



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♪ 走って下さい ♪

今回のアルバムの最大の目玉と注目された、
" 沢田聖子元気ソング " の代表選手。

オリジナルは、1982年4枚目のオリジナルアルバム 『 卒業 』 収録。
30年以上に亘る、たくさんのファンの想いが詰まったこの楽曲のアレンジ、
並々ならぬプレッシャーがあったことは、想像に難くない。

アルバムの1曲目、オリジナルの頭サビの涼やかなアカペラは、
腰を下ろしてスタートの号砲を待つ緊張感にも似ている。
そして息つく間も与えずに、一気に走り出す。

新たなアレンジは、オリジナルの疾走感、透明感がやや失われ、
コーラスにしても乾いた音が気になり、物足りなさは否めない。
キーボードの小気味よいテンポが印象的だったオリジナルに対し
ギター、リズム楽器、シンセ等、いろんな音が重なりあってしまい、
ストレートなインパクトにやや欠ける。

音が多すぎの感があり、サビのコーラスも耳障り寸前。
音が喧嘩をしている…
という使い古された表現が出てきそうなほど…。

間奏のギターソロは、オリジナルの完成度が高すぎて
やはり超えられなかったか…と。

たくさんの想いを積み重ね、ファンと一緒に走り続けてきた楽曲。
それぞれの想いを計り知ることは不可能で、正解はないのかもしれない。

どんなに時間をかけて、どんなに秀逸なアレンジに仕上げても、
オリジナルを超えることは絶対に不可能な 『 走って下さい 』。

音符やコード、楽器ではなく、想いが形になった楽曲だから…。

これからも、沢田聖子の元気ソングの代表選手で。


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♪ 悲しむ程まだ人生は知らない ♪

オリジナルは、1983年7枚目のアルバム 『 ターニング・ポイント 』 収録。
日本フォノグラムへの電撃移籍が決まり、その第一弾のアルバム。
沢田聖子さん本人はこの楽曲をアルバムタイトルに、と切望したが、
レコード会社のプロモーション事情から、叶うことはなかった。

新たなアレンジの 『 悲しむ程まだ人生は知らない 』 は
このアルバムを象徴するような、鉄板の7~80年代邦楽サウンド。

シンセとギターがおしゃれに主メロを奏で、
管楽器とストリングスがダンス踊るように絡みあい、
ウィンドチャイムがさわやかな風を吹き流す…。

聴き飽きるほど聴いた、バブル時代のサウンド。

どこかで聴いたことのある、やさしさに包まれたアレンジが、
どこか空々しく響くのは気のせいか…。

サビのコーラスアレンジは見事で、とても聴き心地が良い。
これが新曲なら、何も言うことはない。

けれどもこの楽曲は…

あの頃、当時の流行りのサウンドだけにとらわれず、
どこか懐かしいフォークの香りを漂わせていた沢田聖子の楽曲。

あの音に惹かれた当時のファンにとって…
今さら、あの時代の流行りのアレンジで聴きたくはない…
と思うのは、わがままか…。

良い仕上がりであることは間違いないものの…
こんなに軽やかに、さらっと唄われると
あの時の想いをどうしたらいいのか…

今も手に残っているあの頃の想いを…
どうしたら良いのか…
どこにしまえば良いのか…。

あまりにきれいに仕上がり過ぎて、
あの武骨なオリジナルが懐かしくなる…。

30年前を振り返って…
あの頃は…とは決して思わないけれど…

あの頃の淡い恋心、悔し涙、後悔…
時には振り返ることも…と語ってくれたあの日。

青春の1ページはまだ終わらない…

悲しむ程まだ人生は知らない。


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♪ 蒼い風景 ♪

オリジナルは、1983年6枚目のオリジナルアルバム
『 流れる季節の中で 』 収録。

旧クラウン時代最後のアルバムは、前作の 『 卒業 』 のヒットもあり、
リリース前から大きな期待と注目を一身に集めていたものの、
すでに水面下で流れていた移籍騒動に巻き込まれ
正当な評価を得られないまま、新天地へと話題が移ってしまった…
悲運の名盤。

アーティストとしても一人の女性としても、
沢田聖子さんの大きく成長した姿を魅せてくれた1枚。
全体のストーリー性も秀逸で、楽曲の配置に思わず唸るほど…。
ゆったり流れる大河を思わせる、スケール感あふれる1枚。

オリジナルアルバムでも3曲目に収録された 『 蒼い風景 』 。
当時からあまり陽の目を見ることのなかった、地味な楽曲。

初めて赤裸々な想いを綴った衝撃のラヴソング…
と水面下で噂され、ファンも手を触れられずにいた楽曲。

ウェーブするシンセと力強いドラムの響きが、
その胸の内を如実に映し出しているかのよう…。

新たなアレンジは、
その想いを継承するようなギターストロークとドラムス。
吐息にも似たヴォーカル、サビの透明感あるコーラスアレンジ、
間奏のギターソロからツインへの流れ…
そして、エンディング。

まるで設計されたような、計算しつくされたような流れ。
手法は変わっても、当時と何も変わっていない想い。

あの時、止まった時間。
終わりを告げた想い。

完成度の高いサウンドの裏に潜む、
乱れんばかりの蒼い風景が…

再び。


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♪ 青春エピローグ ♪

オリジナルは、1982年4枚目のオリジナルアルバム 『 卒業 』 収録。

リリース当時から、ファンの人気も評価も高いラヴソング。
リクエストも多くライヴで唄う頻度も高い、
沢田聖子ラヴソングのスタンダードナンバーのひとつ。

当初のタイトルは、自らがつけた 『 早春賦 』 だったが、
やや地味な感が否めなかったためか変更を余儀なくされた。
ところがレコーディングに入ってもタイトルが決まらず、
挙句の果てレコーディング・ディレクターがつけたタイトル。

まだ本当の恋も知らなかった時代…
と前作 『 Singer Song Writer ~GREEN~ 』 で語っていた想いが
まだこの時代でも脈々と息づいている、緑が残る時代。
緑から青の時代への過渡期。

イントロのギターの鳴きが、強烈なインパクトのオリジナル。
このイントロにすべての想いが集約されている、
と言っても過言ではないほどの、せつないギターの鳴き。
このイントロだけで涙溢れる…
手を触れてはいけない禁断のイントロ。

小節ごとに挟んでくるピアノの音色も絶妙。
間奏のギターソロからエンディングへの流れも鳥肌もの。
大サビのヴォーカルに胸が張り裂けたファンは、数知れず…。
まさに、思春期の沢田聖子失恋ソングの最高峰。

新たなアレンジは、
ピアノとアコギ、ストリングスのスローな導入部。
落ち着いたかすれ気味のヴォーカルは、
当時の昂る想いを、敢えて抑えるように…。

まだ本当の想いを知らなかった時代から、
今は、あの頃の想いをなぞる時代へ。
もともとのタイトル 『 早春賦 』 が、ふと…。

大サビへの流れは、オリジナルの余韻を残しつつ…
抑える胸の高鳴りを、後押しするように。

けれども、ギターもヴォーカルも
あの頃の鳴きは…
ない。

大人の失恋ソングに装いを代えた

今だから唄える…

『 早春賦 』


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♪ あなたからF.O. ♪

シングルヒットを求められていた沢田聖子さんが、
キャッチーなメロディを意識したと公言する1曲。

オリジナルは、1984年9枚目のアルバム 『 INGENUE 』 収録。
その5か月後、12枚目のシングルとしてシングルカット。

夏のスペシャルミニアルバムとしてリリースされた 『 INGENUE 』。
沢田聖子さんがこのアルバムのために書き下ろした楽曲は、
レコード会社が描いていた構想と折り合わず、すべて差し替えとなった。

フォノグラム時代最高の名曲、とまで評価された 『 あなたからF.O. 』。
アルバム収録時の 『 あなたからF.O. 』 は、イントロダクションの
『 アンジェーヌのテーマ 』 からクロスフェードし、
エンディングはフェードアウトではない、粋なアレンジ。

ファンの想いからすれば、シングル盤の 『 あなたからF.O. 』 ではなく
アルバム収録の 『 あなたからF.O. 』 がこの楽曲の始まり。

新たなアレンジでは、このアルバムを象徴するギターサウンドが前面に。
イントロから、オリジナルのイメージを払しょくさせるようなエレキギター。
多くのファンが違和感を持ったはずのイントロ。

透明感あふれるソロヴォーカルが沢田聖子の魅力のひとつであり、
この楽曲も、オリジナルの伸びのあるヴォーカルは絶品。

その透明感をかき消すように、頭サビからコーラスの嵐。
あえてあの頃の想いを打ち消すように。
ファンが抱いたあの頃の想いまで…。

沢田聖子さんにとっては、ヒットを意識して作った1曲。
フォノグラム時代を代表する名曲と謳われながら、
その結果と過程には、決して納得していなかった聖子さん。

ヒット曲とは…

売れたいけど、売れるとはどういうことなのか…
ヒット曲を作りたいが、ヒット曲とは何か…
ヒット曲・売れる曲が、良い作品なのか…

沢田聖子さんが迷宮の入り口に差し掛かった…
苦悩の時代に入った沢田聖子さんの…
青の時代を象徴する 『 あなたからF.O. 』

後年、

何も語らず…

F.O.


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【 編集後記 】

前半の5曲から難しい楽曲が並び、
この時代は簡単には書けない…と痛感。
この5曲を仕上げるだけで疲労困憊。

やや辛口になってしまったかもしれませんが…
沢田聖子さんのダメなところも好きになったように、
納得のいかない、好みではない楽曲にも正直に向き合う…。
沢田聖子なら何でも良い、というファンにはなりたくなく…
そんなスタンスで正直に綴っています。

音楽の好みは、人それぞれ。
創った方々も、ファンの色々な感想を心待ちにしているはず。
「 ぜんぶ良い 」 では、張り合いがないはず。

自分の想いを正直に伝えてこそのファンです。

次回は、中盤の5曲。
これまた難問の楽曲が目白押し…。



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コメント 8

hatumi30331

ファンとしての愛情こもった解説。
さすがです!^^
by hatumi30331 (2014-06-12 12:25) 

don

あなたからF.O♪
長い髪の~♪

懐かしいです。。
by don (2014-06-12 12:37) 

johncomeback

う~ん、凄い・・・
by johncomeback (2014-06-12 13:15) 

ゆうのすけ

全ての楽曲を聴いたことはないのですが
私は 沢田聖子さんの作品の中で 「あなたからF.O.」が一番好きかも!^^♪~
by ゆうのすけ (2014-06-13 02:45) 

johncomeback

結婚記念日おめでとうございますCongratulations!!
by johncomeback (2014-06-13 20:15) 

NO NAME

これだけ真正面から作品と向き合ってくれたら 例え辛口でも作り手はうれしいものですよ。
辛口の中にも、愛情がこもっていますね。
by NO NAME (2014-06-14 21:45) 

さとし

32枚目になるんですか。
凄いことですね。

by さとし (2014-06-15 09:02) 

銀狼

編集後記の部分、強く共感致します。
「ファンだからこそ」ダメなモノはダメと言える事が大切だと。。。
私も我が姫と、そのようなスタンスで接するように
心掛けております。。。
by 銀狼 (2014-06-15 19:49) 

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